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2026年06月

2026.06.17

第26回【実例】PEEKの超薄肉切削。他社が諦めた「たわみ」と「ビビリ」を抑え込んだ技術

 こんにちは、会津ゴムです。

「形状が薄すぎて、刃物を当てると材料が割れてしまう」 「削る時の熱でどうしても反(そ)りが出てしまい、要求公差に収まらない」

そう他社様で断られ、最終的に弊社へ持ち込まれた案件がありました。 素材はスーパーエンプラの代表格である「PEEK(ピーク)」。形状は、外径に対して肉厚がわずか0.5mmという、非常にデリケートな薄肉の筒状パーツ(円筒部品)でした。

なぜこの加工がそれほど難しいのか、そして私たちはどのような技術的アプローチでクリアしたのかを解説します。

技術的課題:樹脂の天敵「ビビリ」と「切削熱」

他社様がギブアップしてしまった理由は、大きく分けて2つありました。

  1. ワーク(材料)の「ビビリ」による破断 肉厚0.5mmともなると、刃物が回転しながら当たった瞬間に、材料自体が風に棚引くように激しく振動(ビビリ)します。この振動によって寸法が狂うだけでなく、最悪の場合は素材が耐えきれずにバリバリと割れてしまいます。

  2. 切削熱による「熱変形」 PEEKは耐熱性が高い素材ですが、プラスチックである以上、金属に比べて熱による膨張・収縮の割合(熱膨張係数)が大きいです。削る際の摩擦熱をうまく逃がさないと、加工後に冷えた時点で製品がグニャリと歪んでしまいます。

弊社の解決策:治具の工夫と切削条件の最適化

私たちは、この難題を「機械の性能」だけに頼るのではなく、以下の技術的ノウハウによって限界を突破しました。

① 専用の「内径保持治具」を設計

ワークが刃物の圧力で逃げたり振動したりしないよう、筒の内側から完璧にバックアップして固定する、専用のアルミ製治具を製作しました。材料が1ミクロンも「たわまない」強固な保持環境を作ることが、この加工の絶対条件でした。

② 切削条件(プログラム)の緻密な計算

刃物には、樹脂専用に刃先を極限まで研ぎ澄ました超硬エンドミルを選定。 一度に深く削るのではなく、1回あたりの切り込み量をコンマ数ミリ単位に抑え、熱を発生させない「超高速回転・微細送り」の切削プログラムを組みました。

さらに、一気に完成形まで削るのではなく、一度「粗削り」をして材料の内部に溜まった歪み(残留応力)を解放させてから、最終の「仕上げ削り」を行うという、手間を惜しまない二段階の工程を踏みました。

結果:肉厚0.5mm、寸法公差±0.02mmをクリア

このアプローチにより、削り出しによる肉厚0.5mm、そして寸法公差±0.02mmという、金属加工並みの極限の精度を、1つの不良も出すことなく全数納品することができました。

お客様からも「まさか切削でここまで綺麗に薄肉が出せるとは思わなかった」と、技術力を高く評価していただけました。

まとめ:難削材の微細加工こそ、私たちの腕の見せ所です

スーパーエンプラの微細加工や難加工は、単に高価な工作機械を導入すれば削れるというものではありません。 素材の特性を見極め、それを支えるための「治具」を自ら考案し、最適な「切削条件」を導き出す知恵があって初めて形になります。

「図面の形状が複雑すぎる」「他社で無理だと言われた」 そんな案件こそ、ぜひ弊社の技術力をお試しください。解決へのプロセスをご提案いたします。

2026.06.10

第25回【実例】板金から樹脂への置き換え。配線隠しカバーを「樹脂化」したメリット

 こんにちは、会津ゴム工業です。

「今、金属(板金)で作っている部品、樹脂に変えられないかな?」 こうした「材質変更」のご相談をいただくことがよくあります。

最近も、ある装置の「配線隠しに使用している板金の板」を樹脂に置き換えたいというご依頼がありました。一見、どちらでも良さそうなカバー部品ですが、樹脂に変えたことで多くのメリットが生まれました。

板金から樹脂へ変えた3つのメリット

① 電気的な安全性の向上(絶縁性)

今回は「配線」を隠すためのカバーです。万が一、内部の電線が劣化して露出した場合、金属の板だと漏電やショートのリスクがあります。電気を通さない樹脂(絶縁体)に変えたことで、装置全体の安全性がグッと高まりました。

② メンテナンス時の「軽量化」

配線カバーは、メンテナンスの際によく取り外す部品です。板金から樹脂(プラスチック)に変えたことで重量が大幅に軽くなり、現場の作業員の方が「軽くて取り回しが楽になった」と喜ばれていました。

③ サビない・塗装剥がれがない

金属の板金塗装だと、経年劣化で塗装が剥がれたり、そこからサビが発生したりすることがあります。樹脂であればその心配が一切なく、長期間クリーンな状態を保てます。

会津ゴム工業のこだわり:ただ置き換えるだけではない

素材を金属から樹脂に変える際、図面そのままの厚みで置き換えると、強度が足りずにたわんでしまうことがあります。

私たちは今回、樹脂の特性を考慮し、「強度を保ちつつ、最もコストを抑えられる最適な板厚と材質」をご提案しました。ただ言われた通りに材質を変えるのではなく、製品の役割(今回は配線隠し)に合わせたベストな設計をお手伝いします。

まとめ:その金属部品、樹脂にしてみませんか?

「重さを減らしたい」「安全性を高めたい」「コストを見直したい」 そんなときは、金属から樹脂への置き換えが正解かもしれません。

図面がなくても、「この金属部品を樹脂にしたい」と現物をお持ちいただくだけで大丈夫です。プロの目線で、最適な素材と形状をご提案いたします。

2026.06.03

第24回【図面がなくても大丈夫!!】ポンチ絵や現物から形にする相談事例

 こんにちは、会津ゴムです。

「試作したいアイデアはあるけれど、図面を描く時間がない」 「手元にあるのは、壊れてしまった古い部品(現物)だけ」

ものづくりの現場では、最初から完璧な図面が揃っているケースばかりではありません。私たちは、図面が「ない」状態からのご相談にも喜んで対応しています。

今回は、実際にいただいた2つの相談事例をもとに、私たちがどのように形にしているかをご紹介します。

事例1:手書きの「ポンチ絵」から試作へ

  • ご相談内容: 「こんな機能の治具が欲しい」と、ノートに手書きされたラフスケッチ(ポンチ絵)と主要な寸法だけを持ってご来社されました。

  • 私たちの対応: お客様の「何を解決したいか」という目的をヒアリングし、強度や加工性を考慮した3Dデータを弊社で作成。ディテールを詰め、そのまま加工・製作まで一貫して行いました。

  • 結果: 図面化の手間を大幅に削減し、アイデアを最速でカタチにすることができました。

事例2:「壊れた現物」からの復元(リバースエンジニアリング)

  • ご相談内容: 「海外製の古い設備の部品が割れてしまった。メーカーにも在庫がなく、図面もないので同じものを作ってほしい」という切実なご相談でした。

  • 私たちの対応: 割れてしまった現物の寸法を精密に測定。ただ同じ形にするだけでなく、割れた原因(負荷がかかりやすい箇所)を分析し、「肉厚を少し厚くする」「より強度の高い材質(PEIなど)に変更する」といった改良をご提案しました。

  • 結果: 元々の部品よりも耐久性が向上し、設備の寿命を延ばすことに成功しました。

私たちの強み:「意図」を汲み取る力

私たちが大切にしているのは、測定器の数字やスケッチの線だけではありません。

「この部品は、どこに組み込まれ、どんな負荷がかかるのか」

という使用背景(ストーリー)を徹底的に伺うことです。これがあるからこそ、図面がなくても、設計変更や最適な材料選定をその場でご提案できます。

まとめ:まずは「アイデア」と「現物」をお持ちください

「図面がないから」と諦める必要はありません。

  • 手書きのスケッチ

  • 壊れたパーツ

  • 「こういうことで困っている」というお話

それだけで十分なスタートラインです。プロの加工技術と提案力で、あなたの「困った」を解決いたします。まずはお気軽にご相談ください。